夫が仏教徒、妻はクリスチャン等々、夫婦で宗教が異なるケースもまれではありません。さて、お墓を新しく建立するという場合には、以下のポイントを念頭に置いて選んでください。
(1)宗教的トラブルを避けるためには、公営霊園を選ぶと問題が起こりにくい。
(2)墓石には、宗教的な文字をなるべく刻まない。「南無阿弥陀仏」「妙法」「南無妙法蓮華経」「倶会一処」など。
(3)家族で相談し、墓碑銘を決める。伝統的な「○○家之墓」でもよいし、”やすらぎ””平和””愛””絆””夢”などの墓碑銘でもよい。
(4)墓誌で、戒名や洗礼名クリスチャンネーム等、生年、没年、俗名を刻み、宗教の特質を表現させている例が多い。
(5)伝統的な和型三段墓でなくても、洋型墓石やデザイン墓でも自由な発想を生かせる。家族が墓づくりをする際に、コミュニケーションをとることができる。
つまり、夫婦で宗教が違うことをマイナスととらえずに、プラスとし、それぞれの個性を殺さずに生かせるものを新しく創造することが大切です。
すでに寺院墓地に、夫の家の墓がある場合は、新しく公営墓地か宗教不問の民営墓地を購入し、改葬するほうが後々のトラブルを回避できます。そうでなければ、妻の側がクリスチャンの教会墓地等に信者の方々とともに埋葬した例や、納骨堂を利用した例などもありました。
夫婦で離ればなれはいやだという場合は、やはり宗教が違っても問題が起こらない地方公共団体の経営する公営墓地をおすすめします。ただし、公営墓地はどの市町村にもあるというものではありません。自分の居住地の公営墓地情報を、まずは問い合わせてみてください。各市町村の住民サービスへ電話すると、担当窓口の公園課、公園緑地課等に電話をまわしてもらえます。そこで、公営墓地の存在の有無、募集時期、募集状況、募集条件、方法、倍率などの条件を聞くことができます。当然、大切な使用料、管理料についても聞いておいてください。また、広報誌には、きちんと公営墓地の募集に関する情報が載るはずですから、必ず保存しておくことも重要です。
墓地は、死者が出て即時に必要だという場合には、十分な準備ができないまま購入し、トラブルにまきこまれてしまう性格をもつものです。いつかは必要になるとまず意識すること、そして十分な知識を蓄積することから始めておけば、安心でしょう。
斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より
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