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斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より抜粋

  【Q1】夫のお墓に入りたくないけど、どうしたらいい?
   1980年代後半のお墓の意識調査で、「夫の墓に入りたくない」という女性の側の素直な気持ちが発表された際に、この感覚は大変センセーショナルな話題でした。1990年に『現代お墓事情』(井上治代著、思潮社)が刊行され、TVや雑誌、新聞でこの話題が取り上げられたので、記憶にあるかもしれません。
 
 さて、「夫の墓に入りたくない」という実感は、イコール夫への愛情不足、”家庭内離婚”というイメージにやりやすいのですが、実はそうではなく、「夫の家の墓」つまり夫の実家の墓に入りたくない、何やら古めかしい封建的な家制度に対する反発のほうが、実は多いのではないでしょうか。夫は、自分の入る墓=実家の墓とステレオタイプに考えている、そんなところが、女性の側から言うとイヤなのでしょう。
 
 結婚後、夫の両親と同居している家族は、地方といえども少数となってきています。夫婦と子どもたちの核家族が主流です。夫が長男で、地方に住んでいる両親への思いを断ちがたく、地方のお墓を守ろうとしている場合、妻はその土地に馴染みがなく(結婚後、何回田舎に帰っているのでしょう。夫の実家が1時間以内であっても、年に数回も会わない家族が増えています)、その墓に入りたくないと実感をもって考えても無理はないと思います。
 
 「死んでまで嫁をやりたくない」と考えるのは、昭和ヒトケタ世代の女性たちの中ではきわめて少数でも、戦後生まれの女性たちの中では、あたりまえかもしれません。「嫁」という言葉が、いまや死後になりつつあるのも事実です。
 
 さて、「夫の墓に入りたくない」という意志は、夫に打ち明けることができるでしょうか。夫の家の墓に入りたくないのなら、夫と相談し、夫婦のための新しいお墓をつくることも可能になります。しかし、夫の入っている、すでに死んだ夫の墓に入ることを拒否する、あるいは、夫に打ち明けられぬ事情で一緒に入ることを拒みたいケース(好きな人と一緒のお墓に入りたいとか、実は夫を愛していないなどの理由)の場合は、遺言を残しておくことが大事だと思います。それとなく、嫁や息子に伝えておくことも大切です。遺言が実現するためには、弁護士のような第三者に間に入ってもらうことが重要です。特に、夫よりあなたが先に亡くなった場合、トラブルが生じやすい状況になることが予測されます。まして日本の現行の法律では、故人の意志が絶対であるとはいえず、”家族の意志”も同等に尊重されるのです。
 
 「夫の墓に入りたくない」のなら、生前に離婚を考えるのがあたりまえと、短絡的に考えずに「どうしてそうなのか」というあなた自身の感情の根っこのところに向き合ってみてほしいと思います。そして、それが自分らしい死を選択するためにどうしても必要な事柄であるなら、努力すること、こだわることも大切でしょう。自分の意志と家族の意志について十分に話し合うことが、ただのケンカではなく、解決策に向かうことにもなります。逃げずに向き合ってください。
 

斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より

クョスコニョ    [1] 
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