確かに、年をとると、お墓参りも一苦労です。その上、暑い盛りの草取りや、お墓の手入れ(清掃、メジ切れの修理、花立てや線香の香皿の交換、花立てのつくり直し、砂利の入れ替え等々、管理メンテナンスもたくさん種類があります)や、植木の手入れが大変です。ときとして、東京都立霊園などでは、墓所内の植木が育ちすぎ、隣接の墓所の迷惑になっている等、苦情を伝えて植木の手入れをうながしたり、注意したりする例などが見られます。 さて、一番よい方法は、自分の墓地の工事を請け負ってくれた石材店に電話をしてみることです。植木の手入れや草取り等については、現地の状況について、見積りを郵送・ファックスしてくれます。また、電話での相談も可能でしょう。見積りをもらってから一考するほうが納得できます。霊園内で、メンテナンス等を無店舗で請け負う業者は、当然領収書も出しませんし、きちんと作業もせず、お金をだまし取られるケースも多いので、注意が必要です。特に、木を伐らなければならない場合や、竹などの地下茎の深いもの等は、外柵(石の囲い)をはずす作業や、その後の据え直しも必要になるなど、大がかりになることもありますので、石材店に相談することが大事です。 心当たりの石材店がない場合は、管理事務所を通して頼める場合もありますので、まず一報してみてください。その他、管理メンテナンス業者、たとえば、東京メモリアル(株)に依頼することもできます。料金表が明確ですから安心です。また、地域の石材組合を当たってみると、手入れの代金等もきちんと決まっているので、参考になると思います(都立八柱霊園石材同業者組合では、植木の手入れ平方メートル=1,500円程度)。 自分が現地へ行けない場合は、現地の状況を写真に撮って送ってもらうこと、見積書を同時に取り寄せること、そして、納得してお願いし、植木の手入れ後の写真を送ってもらった上で料金を支払うことが大切です(通常行われているので、石材店にはきちんと言えばやってくれます)。墓参の代行もしてくれます。花を上げてくれる(祥月命日ごとに一年間毎月行うケースや、一回だけのケース等があります。料金は、花代実費と簡単な清掃代金を加えたもの。たとえば、花代一対1,900円+実費千円程度)サービスを請け負っている場合もありますので、電話で問い合わせるとよいでしょう。 また、近年草取りが大変とのことで、草の生えない工夫をしている例があります。コンクリートを敷き、砂利を撒く方法や、石貼りにする方法などです。いずれも必ず見積りをとってしてください。自分が、きちんと墓参したり、草取りしたり、清掃するのが基本です。ただし、足が不自由になったり、息子や娘に墓参のために車で送ってもらったりすることを気苦労に感じるならば、石材店や管理サービス会社を利用することも大切な問題解決といえるでしょう。たとえば、スイスでは墓所に管理会社がわかる色つきのポールが立っています。管理を委託し、常に美しい墓所に墓参するために役立っているのです。
斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より
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