正式の代行業は、現在ありません。ただし、窓口になり得る業者はいます。あなたの菩提寺に出入りしている石材店を窓口にするのもひとつの方法です。あなたの墓石をつくってくれた石材店の名前や電話番号を控えていませんか?自分が病気がちとか、介護が必要な状態で動けない場合、その事情を、石材店に相談してみてください。石材店の立場で、住職に話を通してもらうことも可能です。事情をきちんと話せば、名案が出てくることもあります。 ただし、改葬手続きの代行は、業者が行うことはできないので、最後の部分はあなたの息子さんや娘さんの手を借りることになります。もし、頼める親族や子どもたちがいなければ、弁護士に代行者として依頼することも可能です。委任状をきちんと出し、代行のための書類を整えることも大切です。とはいえ、弁護士に相談するということは、日常ではあまり経験のないことなので、費用も気になり、気遅れしてしまうでしょう。市町村や公共団体、商工会議所、女性センターなどの公共の”無料法律相談”をまず受けてみてください。その上で、弁護士を紹介してもらうのも一案です。単純に相談だけなら、30分間5千円程度、代行については別途料金(自費)がかかります。ただ、費用の見積りもとれますので、安心して相談できます。 あなたが、現在介護が必要な状態なら、子どもやヘルパーさんにつき添ってもらい、介護タクシー等手配の上、寺院へ直接行くことも考えられます。遠隔地であれば、小旅行のつもりで行くこともできます。家族の協力が何より大切ですが、”お墓”のことを気に病まず、ひとつの”家族の絆”の確認の場所と考え、前向きにとらえていくことも重要です。
斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より
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