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斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より抜粋

 

  【コラム8】お寺や墓地がつぶれたら、どうなる?
 

 「神奈川県など三つの県で霊園を運営していた財団法人が乱脈経営のため、厚生省より法人認可を取り消された」、そんな記事が掲載された(2000年3月15日付「朝日新聞」記事。なお認可取消は1999年3月)。「横浜霊園」(神奈川県)「清水公園墓地」(静岡県)「鹿児島霊園」(鹿児島県)などの霊園をもつ財団法人「日本墓園」のことで、バブル期に福島県のリゾート開発へ投資するなど事業を拡大したが、失敗して数十億の負債を抱えたため、「公益法人としての必要な非営利性と永続性を確保できなくなった」として認可を取り消されたのである。

 
 では、それらの霊園にお墓をもっている人たちは、どうなるのか。記事によると、「債権債務を整理して霊園を引き継いでくれる運営母体を探しているが、もし債務超過で返済不可能となれば、破産して墓地が競売にかけられる可能性もある」とある。そこで、霊園にお墓をもつ人たちは、「私たちの墓地を守る会」を結成し、利用者の権利保護を要求していくことにしたという。

 
 さて、経済状態や運営面の悪化は、こういった霊園だけでなく、寺院でも抱える問題である。今後、お寺や霊園がつぶれるというケースが発生する可能性は十分にある。そのとき、法律上、どのような規定があるのかというと、宗教法人の場合は「礼拝のために使われる建物や土地について、その趣旨の登記がされていれば、不動産の先取特権、抵当権または質権の実行のためにする場合および破産の場合を除いて、債権者がその登記後に生じた債権により、差し押さえることは禁止」(宗教法人法83条)と定められている。つまり、墓地が宗教法人のもので、その趣旨が登記されていれば、差し押さえられないので、お墓も安心ということだ。

 
 一方、登記されていなかったり、抵当権などが設定されている場合、差し押さえられ、競売にかけられて、第三者のものになってしまうこともありうる。

 
 「でも、お墓を購入したとき、永代使用権も得ているのに・・・」と主張する人もいると思うが、永代使用権は法律で明文化された権利ではない。それゆえ、「債権者に対抗でき、墓地は使用できる」という弁護士もいるが、答えは不明確だ。ただ、墓地を廃止して他の目的のために使う場合は、都道府県知事の許可が必要なので、即、墓地がなくなるということにはならない。

 
 なお、2000年11月、厚生省(現・厚生労働省)は「墓地契約約款」のひな型、ガイドラインをまとめた。これは、使用者を守る立場から出されたものである。といっても、「お墓は一生もの」と安心できない状況が生まれつつある現代、墓地選びも慎重にして、賢い消費者になることが大事だろう。

 

斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より

クョスコニョ    [1] 
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