「いま香典の相場は?」「お坊さんに、いくらぐらい包めばいいの?」出費は少なくしたいけど、少なすぎれば恥をかく・・・そんな気になるお金について紹介しよう。
まず、「香典」について―。ある銀行が実施した調査を参考にすると、全体の平均として約一万円、回答の多かった金額は五千円。ただし、故人との関係、交際の度合いや年代、地域によっても違いが出てくる。その点からみると、当然だが、年代があがるほど高くなり、20〜30歳代は三千円〜五千円という人が多いのに対し、40〜50歳代は一万円が目安になっている。
関係性からいえば、職場などの上司に対しては平均五千円前後、逆に部下に対しては約六千円。これは、上司から部下へという場合は相場より多めでもよいが、部下が上司に対してというときは相場を超えないのが一応の常識と考えられているからだ。また、地域格差も大きく、たとえば関東と関西を比較すると、友人・知人に対しては関東のほうが高くて、回答数が多かった金額でみると関東一万円に対して関西は五千円。一方、隣・近所に対しては、逆に関西のほうが高く、平均でみると関東約六千円に対して関西は約一万一千円だ。
これらの実情を考えると、全体的に最低金額は五千円、あとはそれぞれの人の条件によって考えることといってよいだろう。
一方、お布施の金額について―。お布施とは、お寺のお坊さんに包む謝礼のことで、本来はお金とは限らず、米や食べ物などの品物でもよかった。今でも、地方では現物のお布施をしているケースがみられる。
ただ、ここでは「お布施として、いくら払えばよいか」と悩んでいる人に焦点をあてて考えると、「葬儀・法事などでは、二万円から五万円。お盆・お彼岸のときのお経代は三千円から一万円」で、自宅に来てもらったときは別途、お車代として五千円程度を包むというのが目安といわれている。
ただし、宗派によっては一定の基準があったり、お寺との関係、戒名による違い(位によって異なる)などの条件によっても異なる。また、香典と同様、地域による差があり、数百万円などというケースも過去にあった。そういう面からも、一概には断言できないので、お世話になった石材店にたずねたり、同じ寺院に墓地をもっている知人や檀家の人に聞いて判断するとよいだろう。
なお、「戒名」のところでもふれたが、寺院が受ける金品はすべてお布施であり、これまで「戒名料」といっていたお金も「お布施」と呼ぶようになりつつある(全日本仏教会の見解による)。
斉藤弘子・長江曜子著『Q&A 21世紀のお墓と葬儀』より
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